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   CO2は地球温暖化の原因ではない 

  2021.7.15. 首相官邸ご意見募集に投稿 

(図を添付した修正版である)                T.K

 菅政権は2050年までにカーボンニュートラル、すなわちCO2ゼロの脱炭素社会の実現を目指すことを宣言した。産業革命以来、世界は化石燃料に頼って経済発展してきたが、資源の有限性と環境悪化が叫ばれる今、化石燃料から再生エネルギーの利用に切り替えることは必要であろうし、その時期に来ているとは思う。しかし、日本はこのために今後、約100兆円もの税金を投入する必要があると試算されている。あまりに性急なエネルギー政策の転換は、日本を政治危機に陥らせることになりかねない。日本は背伸びしてまで国際社会の優等生になる必要はないのである。菅首相にはもっとしたたかな外交を望むものである。

 カーボンニュートラルを推進する原動力は、「人類が排出するCO2が地球温暖化の原因である」という“常識”である。これが誤った常識であることを指摘したい。

 

 一つは、気温変化がCO2濃度変化をひき起こすという、厳然たる事実があることである。その一方で、人類が排出することによるCO2の濃度変化が、気温変化をひき起こすという明確な事実はない。CO2が温室効果ガスであることは事実であろうが、“常識”は、このCO2の温室効果などを根拠にコンピューターシミュレーションで得られたもので、あくまで推定に過ぎない。地球温暖化は複雑系の科学分野に属する事象なので、地震を予知できないのと同様、50年先の気温の変化も予測できない。要素還元的な分析を行い、統合するという従来の手法では、如何に近似計算の精度を高めても複雑系の、その系に内在する予測困難性に直面し、正解が得られないからである。

 

 大気中のCO2濃度が毎年平均0.6 ppm上昇することを初めて明らかにしたのは米国のC.キーリングである。ハワイ島マウナロア観測所の連続観測を基に、大気中のCO2の蓄積をグラフ化したものは、彼の名をとって、キーリング曲線と呼ばれている。このキーリング曲線が、CO2を原因とする地球温暖化問題に世界の注目を集めさせるきっかけとなったといわれている。そのキーリング曲線はギザギザな曲線であることはご存じだろうか(下図)。このギザギザは大気中のCO2濃度が1年周期で振幅約3 ppmの周期変動をしていることを示している(下図、挿入図)。気象庁の解説によれば、それは世界の陸地の植物によるCO2取り込み量の季節的な変化に対応しているとされていて、解説は素っ気ないものである。しかし、振れの変化量は、最大6 ppmに達しており、それは人為的CO2の年増加分の10倍の非常に大きなものなのである。ギザギザの真っ当な説明は以下のとおりであろう。地球には季節変化があり1年周期で気温は変動している。この気温という変数がギザギザの中に規則正しい周期変動の形で隠れているのであり、キーリング曲線のギザギザは、気温がCO2濃度変化を牽引している、言い換えれば、「気温変化が原因でCO2濃度変化が現れる」という重要なことを示しているのである。これは“原理”といってよく、何人もこれを否定できまい。キーリングの論文の中には、観測値から長期的上昇傾向と季節変化を取り除いた大気中CO2濃度変動と気温変動の関係から、気温変動はCO2濃度変動に先行することを示した、この“原理”を裏付けるようなものもある。しかし、学会はこの論文を黙殺している。これを取り上げ、データ処理法を変えるなどして、気温変動がCO2濃度変動に先行して現れることを明示し、主張した日本の学者はいたが、論拠を示せなかったため学会から厳しい批判や攻撃にさらされた。「気温変化が原因でCO2濃度の変化が現れる」という“原理”は、CO2を原因とする地球温暖化論者が絶対に容認してはならないものなのであろう。

 二つは、過去20年間の気温は、ほぼ横ばいであるということである。これはマーク・モラノ氏の説による。2016年は、過去150年で最も地球の気温の高い年だと言われた。しかし、これは強いエルニーニョ現象によるものであることが明かになっており、その後、温度は下がった。人類排出のCO2は産業革命以後、増え続け、2020年には4000 ppmを超えた。その現在までの累積は膨大な量となっていて、累積量の3分の1はこの20年間に起きた。それでも温暖化が起きていないのである。これは、CO2は温暖化の原因ではないという証拠ではないか。

 「人類が排出するCO2が地球温暖化の原因である」は非常識で、人類が共有するものではなかろう。                                                 

        キーリング曲線(CO2濃度と気温の年変化)

   挿入図に、1年間の変動を平均した季節変化を示す。

画像2CO2.png
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