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                      ウクライナ戦争

        核抑止、ハイブリッド戦争、および兵器のステルス化について

   

      2022.3.2 

     ロシア軍がウクライナに侵攻した。ロシア軍がウクライナの首都キエフから25kmの地点まで迫っている3月2日現在、この戦争から見えてくる、核抑止、ハイブリッド戦争、および兵器のステルス化について考えてみたい。

 ウクライナは、1994年、米国、ロシア、英国が署名したブタペスト覚書で、核兵器を放棄する見返りに、国家の安全保障を約束された。ウクライナには気の毒だが、その結果がこのありさまである。「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼してわれらの安全と生存を保持しよう(憲法前文)」としてはならないのである。プーチンはウクライナに対して核使用を示唆して威嚇を続けている。核抑止力に裏打ちされない安全保障など絵空事であるということを、今こそ日本国民は痛切に思い知るべきである。核抑止として、安倍元首相は、米国の核兵器を米国と共同運用する核シェアリングについて、議論の必要性を訴えたが、岸田首相は「核シェアリングは非核三原則を堅持する我が国の立場から考えて認められない。」と冷淡である。岸田首相は一体どこの国の首相なのか。この首相は、広島出身ということもあり、以前から核廃絶を広言して憚らないが、宗教家ならともかく、政治家であるならば現実世界を見よと言いたい。核軍縮はあり得ても、我々が神や仏でもなく人間である限り核廃絶はあり得ない。日本人と日本の安全保障のため、核軍縮を念頭に、核と向き合ってゆく現実的で合理性のある政治ができないようであれば、首相の座から速やかに降りてもらいたい。

    現代の戦争は、ハイブリッド戦争といわれ、正規軍が戦う旧来の戦争の形態と異なり、正規軍と非正規軍との混成で戦う戦争である。この戦争の概念が登場したのは1999年に中国が発表した「超限戦」であるといわれる。これは通常戦に加えて、国家テロ戦、外交戦、諜報戦、金融戦、ネットワーク戦、法律戦、心理戦、メディア戦などあらゆる手段を用い、あらゆる場所を戦場とするものである。ウクライナ戦争では、サイバー攻撃や、メディアやSNSを用いた情報戦が執拗に繰り返されており、このことはテレビで連日放映されている。ウクライナに入り込んだロシアの工作員による破壊活動も報告されている。工作員がゼレンスキーウクライナ大統領の暗殺を企てているのではという憶測も飛び交っている。日本に目を向ければ、日本は中国から「超限戦」を仕掛けられていると言われて久しい。既に、日本の主要なマスメディアは、中国共産党のコントロール下に置かれているともいわれる。日本は将来の中国とのハイブリッド戦争を想定して、国家安全保障に関する法整備を行うべきである。さもなくば、日本は滅びるであろう。スパイ防止法の制定、中央情報局(JCIA)の設置、相互主義に基づく中国人による日本の土地所有禁止などを含む包括的な法の制定を早急に願う。

 ウクライナ戦争では、兵器に革新的な変化がみられる。特筆されるのは対戦車ミサイル「ジャベリン」である。完全な撃ちっ放し機能、発射前のロックオン・自律誘導能力を備え、兵士が携帯できることを特長とする。これにより、兵士が野外や室内に潜伏して、敵の装甲車両やヘリコプターを簡単に破壊することができる。他に、携帯式防空ミサイルシステム「スティンガー」がある。ドイツが500発、ウクライナに供与することになっており、これらがウクライナに配備されれば、航空機は撃ち落されて、ロシアは制空権をとれなくなるであろう。従来、戦車や航空機は、歩兵が立ち向かうものではなかった。ところが携帯ミサイルは、兵士が草むらや茂みに隠れて用いることにより、これらの重兵器をステルス的に破壊できるのである。ミサイル技術、ドローン技術の高度化により、敵前に姿をさらす兵器は、格好の標的になり下がって、狙い撃ちに会うため、艦船、航空機、戦車、装甲車などは、今後、活躍の場が狭くなるであろう。日本は、各種誘導ミサイル、ドローン、ロボット、潜水艦、ステルス戦闘機などステルス性の高い兵器をいっそう開発・装備する必要があろう。

 また、中国が日本に仕掛けているハイブリッド戦争を念頭に置くならば、中国工作員が「ジャベリン」のようなステルス性の高い自律誘導ミサイル兵器を使用する可能性がある。これらの兵器が日本に密輸入されて、潜伏している工作員に渡らないよう監視する必要があろう。

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