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武漢コロナウィルス Ⅲ.   

    ー国民監視システムの必要性ー

 2020.4.29

 

 欧米諸国で武漢コロナウィルスの感染拡大が非常に深刻になっている4月8日、中国武漢では76日ぶりに封鎖が解かれた。人民日報は翌9日の論評記事で「感染症の制御は、共産党組織体系の強大な優位性の顕れだ」とし、「感染症の状況に対する党中央の判断が正確であり、処置が強力で効果的」であったと主張している。これは、中国のウィルス感染を引き起こした国家としての道義的責任に触れず、完全な居直りととれる。感染拡大の初期では、武漢市の医療現場は、大混乱となったが、中国政府は全国から5万人の医療スタッフを集め、病床を10日間の突貫工事で増やして混乱を解消すると共に、武漢市の封鎖を徹底して行った。共産主義国家ならではの素早い対応である。中国では、異民族や、政権転覆を図る反政府分子を摘発するための監視カメラの普及や顔認証技術、GPSを使った追跡技術など、AIで支援されたITを駆使した監視技術が投入されている。このシステムは、感染者の動向と過去に感染者たちと濃厚接触機会を持ったかどうかが直ぐに分るようになっていて、感染拡大防止に効力を発揮しているらしい。

 韓国でも、感染者の発見、接触者の追跡にIT技術を用いて、感染拡大阻止を行っている。クレジットカードなどの決済情報、スマホの位置情報、防犯カメラの映像などのデータを統合管理し、10分以内に感染者の移動経路をみちびきだせるという。そして感染者の経路が不明な割合は、なんと2%であるという。感染者の実名が公表され、非難が感染者とその家族に集中するので、外を出歩く人が激減したそうである。プライバシーの保護も何もあったものではない。韓国では、北朝鮮と冷戦状態が続いており、防諜の観点から、住民監視体制が整っている。これらのインフラが、社会主義国家への変貌を図っている文在寅政権の体制維持に有効活用されていることが証明されたようなものである。韓国では現在、感染者数は低い水準となり、感染封じ込めに成功したといっている。

 日本の感染拡大の対策法は、住民監視技術を基礎とする中国や韓国と異なり、個人の自由もプライバシーもできるだけ尊重したもので強制性はないが、それでも日本の100万人当たりの感染死者数はは中韓より低いのである。これをもって日本の方法が優れた方法であると主張する者もいよう。しかし、これは日本人と韓国人の、清潔さや遵法心、公徳心といったものを含めた民度の違いをもってして、今のところ達成できているもので、今後どうなるか分かったものではない。科学的には、中韓のように感染者の過去の行動経路を明らかにし、濃厚接触者を割り出し、彼らに検査を促すのが感染拡大を抑制する決め手となることは明かなのである。日本にも防犯カメラが多数配置されており、犯罪防止に貢献している。これらをネットワーク化してAIと結合させ、濃厚接触者を探し出すことは2次感染の抑止に効果があると考えられる。これらのインフラを最大限使わないという手はない。もちろん、個人のプライバシーを尊重し、データを保険当局だけが利用し、感染抑止と治療以外に流用しないという約束の下で使うのである。また、その利用状況を国民が常に監視でき、国民にデータが有効利用できるよう、プライバシー保護の下で開示できるシステムを兼ね備えていればなお、良いと思う。国民を監視することは共産主義国や全体主義国だけの専権事項ではない。国家は国民を安全に統治するため多かれ少なかれ国民のデータを集め、国民を程度の差はあれ監視下に置いているものである。ただ共産主義国は監視データを一方的に運用して国民を支配し恐怖まがいの政治を行っている違いはあるが。国民の安全と福祉のために、個人の詳細なデータはプライバシー保護の下で、国民と国家が双方向で利用可能であるということを改めて強調したい。デモクラシー(民主制)という政治形態においては国民監視は決して矛盾する概念ではないのである。イスラエルの歴史学者ユバル・ノア・ハラリもこのような考えを持っているようだ。

 次に大事なことだが、この監視システムのインフラを利用して、感染拡大防止や防犯と異なった、独立したチャンネルで治安維持などの国防に役立てることができないかということである。中国や韓国、イスラエルなどは逆に治安維持、スパイ防止用に構築した監視システムをコロナ感染防止に活用しているのである。現代において、技術的にこれくらいの活用ができなければ、国家の存立も危ういであろう。我々が考えている以上に、IT(情報技術)は進化を遂げているのである。悪意を持って日本に工作を仕掛けてくる中国や韓国・北朝鮮に対抗するためにも、緊急事態において国民の生命、財産を守るためにも国防的監視システムを実現するよう政治家には考えてもらいたい。スパイ防止法も早期に成立させ、日本に高度な防諜システムを構築すべきである。

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